大学図書館での研修会

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高校から、大学図書館研修会に行ってきました!

夏休みも終わりに近づいた8月20日、岡山大学にて岡山県大学図書館協議会第1回研修会が開かれた。
高校図書館の私たちからすればあまり聞き慣れない研修会だが、それもそのはず。
今回初めて大学図書館側から高校図書館について知りたいというオファーがあり、高校側から我らのあの頼もしい3人の司書が出席して、高校図書館の現状報告を行ってきた。
県内の大学から20名弱、高校図書館からは司書と教員合わせて10名(3人の講師を除く)の参加者があり、それぞれ大学側と高校側がずら~っと会議室に向かい合わせに並び(ちょっと緊張?)、記念すべき交流が幕を開けた。
ここでは、その内容を簡単に紹介したいと思う。

そもそもなぜこのタイミングで大学図書館が高校図書館にアタックしてきたのか。
詳細はわからないが、大学や図書館を取り巻く状況がだんだん厳しくなってきている中で、図書館をどうアピールして、大学生活の中に図書館利用を定着させていくか、そしていかに地域で図書館の組織体制を築き上げていくか、ということを模索しているとのお話が大学側からあった。
大学に入ってくる前段階の高校で、生徒たちがどのように図書館を利用しているのかを知った上で、大学の新入生へのサービスを考えたいというのが大学側の狙いとしてあったようだ。
高校側としては、県立図書館だけでなく大学図書館との連携もできれば、さらにサービスの可能性が広がるのではないかとおいしいことを期待しつつ、発表者3名の顔と高校図書館のことをバッチリ大学図書館側に売ってくることができた。

この研修会ではまず、高校側より発表を行った。
始めに、岡山一宮高校の坂野暁子司書より、「学校図書館基本情報アンケート」をもとに岡山県全体の学校図書館の様子を報告した。
さらにその後、玉野高校の小橋康智司書と水島工業高校の東根さやか司書により、それぞれの図書館の様子を紹介する実例報告を行った。
大学側の人が“目からウロコが落ちた”と言っておられたが、同じ高校側の者としても非常に刺激を受けたすばらしい報告だった。
その後、質疑応答や意見交換が徐々に勢いを増しながら行われた。

大学側から高校側に対しては、マンガ購入の費用や冊数について、高校図書館を預かる者としての不満(ぶっちゃけトーク有り!)、
県立図書館資料搬送便事業の詳細について、また司書教諭と司書の違いなどについて教えてほしいという声が出た。
また発表3校のレベルの高さに驚いたが、他の高校図書館の様子はどうなのかということで、出席している高校側全校について、それぞれの図書館のアピールを行った(冷や汗タラタラ)。
その中で、司書配置や資料費、図書館の規模(狭い)、システム化やネットワーク化、司書教諭や授業との連携など、高校側が抱えている問題や課題についても大学側に知ってもらうことができた。

高校側から大学側に対しては、大学に入学した時の学生の利用の様子や、大学図書館が高校図書館に求める利用者教育について、
また大学図書館で困っていることを教えてほしいという声が出た。
これに対して、図書館を使う上での基本的なマナー(公共マナー)に頭を悩ませているという回答があった。
また大学図書館は学校や公共図書館とは位置づけ(役割)が違い、学習サポート機関であり、自主学習支援や研究支援(学術情報の提供)、市民・地域への開放に重点を置き、専門書が多いため、公共図書館との使い分けを知っておいてほしいという回答があった。

というのも、大学図書館では、学生からの「普通の本はないのか?」という質問に、「普通の本って、何?」と戸惑うとのこと。
高校図書館では、「何か面白い本ない?」という声に応えるのは当たり前だが、大学図書館ではこれが非常に驚くようなことだそうだ。
高校図書館では、生徒との距離が近く、質問を受ければ問題解決まで一緒に対応することが多い。
一方大学図書館では、途中までは面倒をみるが、そこから先は自分で見つけよというスタンスだそうだ。
大学に入学すると、学生自らが情報を探し出して利用していく能力がより一層必要なことが伺える。
生徒たちが高校卒業後もすんなりと大学図書館を活用していけるように、高校のうちから情報を見つけ出す経験を積んでおくことが大事なのだと改めて思った。

最近では、大学図書館も学生との接し方について、もう少し身近に感じてもらえるようにと声かけを行っているところもあるそうだ。
高校図書館では当たり前のように感じるが、確かに規模も雰囲気も異なる大学図書館では、学生との距離はそう近いものではないのかもしれない。
だが利用者の要求を知るために、もう少し学生との距離を縮めたいと考える大学側の姿勢は決して悪いことではないはずだ。
高校側としても、教室とはまた別の“居場所”として図書館を利用する生徒も多い中、大学側が居りやすい雰囲気を築いて下さると、
スムーズな大学図書館利用へと繋げていきやすい。

大学・高校側共に “目からウロコ”を感じた研修会であった。

(岡山東商業高校 大園京子)